マレーシアに長期で住めるビザとして、MM2Hビザが広く知られています。こうしたビザを取得すれば、合法的にマレーシアへ移住できるようになっています。

ただこのとき、同時に不動産購入を検討する人もいます。マレーシアにて不動産投資を行い、同時にMM2Hビザを利用してマレーシアに住むというわけです。

しかしながら、こうした提案をする不動産業者は100%の確率で詐欺です。絶対に話を聞いてはいけない案件であり、これは倒的にリスクの高い投資手法になるからです。また本来なら、海外不動産はマレーシアへの投資が微妙であり、違う国への投資でなければいけません。

ここでは、MM2Hビザ取得と同時にマレーシア不動産を購入するのがなぜ微妙なのかについて理由を解説していきます。

マレーシアのMM2H保有者は銀行融資が下りやすい

不動産は非常に高額なお金を投資することになります。そうしたとき、自分の資金だけで不動産購入する人はほぼ存在しません。銀行融資に頼るのが一般的です。

そうしたとき、マレーシアは不動産投資をするときに現地銀行にてローンを組めることが広く知られています。そのためマレーシア不動産を購入するときは以下のように現地の銀行にて掛け合うことになります。

ただ、MM2Hビザを取得するためには30万リンギット(約900万円)の定期預金をしなければいけません。つまり銀行にとってみれば、高額なお金を預けてくれている上顧客だといえます。その結果、MM2Hビザの保有者は不動産購入のときに銀行融資を受けやすくなっています。

こうした理由から、「MM2Hビザと不動産投資は相性がいい」と宣伝する業者がいます。ただローンを組めるとはいっても、不動産価値の6~7割ほどの融資であり、残りは自分のお金で投資しなければいけないことは理解しないといけません。

MM2Hビザで預けた定期預金は不動産投資に使えない

なお重要なのは、このときMM2Hビザの取得で銀行に預けたお金を不動産投資に利用することはできません。

MM2Hビザの定期預金については、理由があれば一部を解約して利用することができます。このとき、以前は「定期預金して1年以上が経過した段階で一部解約し、不動産投資の購入費用に充てる」という方法が可能でした。

ただ、いまはそうしたやり方が禁止されています。MM2Hビザの保有者でマレーシア不動産へ投資した人については、不動産購入目的での定期預金解約はできないと以下の通り公式に発表されています。

ここには、「MM2Hビザで不動産を購入したときについて、定期預金削減を禁止する」と記載されています。

そのためMM2Hビザとしてお金を預け、その資金をもとに不動産投資をすることはできません。追加で投資資金を用意しなければいけないのです。

マレーシア不動産自体がいまは低利率の詐欺案件

ただ海外不動産投資の中でも、マレーシア不動産が優れているかというと、残念ながらマレーシア不動産は微妙な内容になっています。利回りは非常に低く、きちんとした海外不動産投資の知識をもっている人だと、詐欺案件として知られています。

理由は単純であり、圧倒的にリスクが高いからです。かつてのマレーシアなら問題ないですが、いまのマレーシア不動産は魅力が乏しく、投資に値しない物件だといえます。

MM2Hビザを取得するだけなら、かなりおすすめできますし優れているといえます。マレーシアは物価が安いですし、株式投資で儲けても税金ゼロなので資産運用することもできます。ただ同じ投資でも、不動産だと微妙だというわけです。

まず、マレーシア不動産の表面利回りは低く、平均利回りは3.72%ほどです。シンガポール並みに利回りが低く、以下はイギリスの不動産調査会社が公表している東南アジアでの不動産投資での表面利回り平均です。

※出典:GlobalPropertyGuide

ただ実際には、ここから「マレーシア政府への税金」「不動産会社への手数料」「銀行利子の支払い」などが加わるようになります。その結果、実質利回りはゼロになります。これに修繕費などが加わると、すぐに赤字へと転落します。

ここから、東南アジア不動産の中でもいかにマレーシアが悪条件になっているのか理解できます。

既に価格が高騰し、キャピタルゲインは低い

なお、このようにマレーシアで表面利回りが非常に低いのは、既に住宅価格が高騰しきっているからになります。マレーシア自体は日本に比べて物価が低いものの、そうした物価に対して住宅価格が非常に高くなっており、利回りが悪いというわけです。

そうしたこともあり、住宅価格の伸び率も悪いです。以下は先ほどと同じ、イギリスの不動産会社が公表している「マレーシアでの住宅価格の推移」です。

出典:GlobalPropertyGuide.com

このように2010~2015年ほどは非常に好調でした。10%以上の住宅価格の伸びが普通の時期もあり、そうしたときに不動産投資をした人は物件価格の上昇によるキャピタルゲイン(不動産の売却益)を得ることができました。

しかし、2018年以降は住宅価格の伸びが悪く、1~3%ほどの伸びに低迷していることが分かります。東南アジアの不動産というと、キャピタルゲインを狙うのが大原則です。ただマレーシアだと、キャピタルゲインすら狙えない状況になっています。

海外不動産投資はアメリカが大原則でマレーシアはない

こうした総合的なことを考えたとき、「なぜマレーシア不動産を勧めてくる不動産業者が詐欺なのか」を容易に理解できると思います。MM2Hビザとの組み合わせが意味ないのは当然として、そもそも「マレーシア不動産へ投資する価値がない」というわけです。

あなたがマレーシアにて強力なコネがあり、優れた物件へ独自に投資できるのであれば問題ありません。ただそうでない場合、マレーシアの不動産購入はおすすめできません。

参考までに、海外不動産投資はアメリカへ行うのが大原則です。米国不動産の場合、以下のようになっているからです。

  • 表面利回り:年7~8%(実質利回り3.5~4%)
  • 物件価格の上昇:年3~4%

また米国不動産だと、日本の金融機関を活用した低金利(利率3%ほど)でのローンを組めるケースがあります。こうした条件のため、マレーシア不動産へ投資するよりも、米国不動産のほうがすべてにおいて条件がいいです。投資では条件の良い国はどこかを考える必要があり、そういう意味でもマレーシア不動産は詐欺です。

MM2Hビザは移住や銀行開設、株式投資が大原則

そのためMM2Hビザに興味がある場合、マレーシアでは不動産以外に着目するようにしましょう。

MM2H自体は非常に優れたビザであり、お金さえ積めば日本ではなくマレーシアへ移住できるという内容です。またマレーシアにて銀行口座を開設し、定期預金にてお金を増やすことができます。さらにマレーシアは投資でのキャピタルゲイン税がゼロ(不動産を除く)であり、株やFX、仮想通貨で儲けたとしても税金はゼロです。

こうした制度を利用するのがMM2Hビザであり、間違っても不動産には手を出してはいけないというわけです。

海外案件は本物の情報と詐欺案件の2つが存在します。これらについて、広く公表されているデータを読み解けば、内容が問題ないかどうかを判断できます。そのためMM2Hビザを取得するに当たり、マレーシア不動産購入はデメリットしかないので無視するといいです。