長い間、マレーシアに滞在できるビザとしてMM2Hが広く知られています。こうしたMM2Hビザを取得するに当たり、多くの人が気になるものとしてマレーシアでの労働があります。

ビザを取得してマレーシアで生活するにしても、仕事がなければ生きていくことができません。既に定年退職して年金生活に入り、余暇を過ごすだけなら特に問題ないですが、年齢が若い段階だと仕事まで考える必要があります。

そうしたとき、MM2Hビザを取得して仕事をすることはできるのでしょうか。先に結論をいうと、何をどう頑張ってもマレーシア国内での就労は不可です。

ただ他の方法であれば仕事を続けられますし、MM2Hビザ以外でマレーシアに住みながら働くこともできます。そこで、これらの方法まで含めて解説していきます。

マレーシア国内で就労し、仕事をするのは不可

MM2Hビザはリタイアメントビザであり、その名の通り既に退職した人をターゲットとしたビザになります。もちろん20代や30代などの人もお金を積めば取得できますが、あくまでも仕事をしない人をマレーシア国内に呼び込み、マレーシア国内で消費してくれることを狙ったものになるのです。

そのため、マレーシアで就労することはできません。ビザの性質が就労ビザではなく、リタイアメントビザである以上、マレーシアの企業に就職して仕事をしたり、現地の人とビジネスで取引したりすることはできないと考えましょう。

・投資なら可能

ただ仕事をして働くのではなく、投資活動であれば問題ありません。株式など、マレーシア国内の企業へ投資をすることで利益を得るのです。マレーシアは高配当の国であるため、配当金だけでも生活できます。

例えば、以下はマレーシア最大の銀行(Maybank)へ投資したときの配当利回りです。

このように年利5%を超えています。MM2Hビザでは投資は問題ありません。ただ、現地企業で働くのは無理というわけです。

働くにしても、日本から得る収入なら可能

なおMM2Hビザはマレーシア国内で働くことを禁止したビザになります。そのため、マレーシア国外で仕事をするのであれば特に問題ありません。つまりフリーランスとして、パソコン一台で海外に住みながら日本の顧客から収益を得るというわけです。

MM2Hビザにてマレーシア移住している人の中には、実際にマレーシアに住みながら日本企業を相手に仕事を行い、収益を得ている人が何人もいます。

あくまでもMM2Hビザで禁止されているのはマレーシア国内で働くことであり、海外からお金を得るのは何も問題ないと理解しましょう。

現地在住でも日本で確定申告を行う

ただこのとき、MM2Hビザで日本企業を相手に収益を得る場合、日本で確定申告することになります。最もいいのは、日本に住民票を残した状態でマレーシアへ移住し、日本へ税金を納めます。ただ日本に住民票がなかったとしても、日本で確定申告しましょう。

青色申告であれ白色申告であれ、以下のような確定申告書類を税務署へ提出するのです(またはe-Taxによる電子申請でも問題ない)。

理由としては、MM2Hビザはマレーシア国内で就労できないため、納税者番号が割り当てられないからです。つまり、MM2Hビザによってマレーシアで納税することはありません。マレーシアで納税できない以上、日本で納税するのが当然です。

海外在住者(日本の非居住者)だと、通常は日本で税金を納める必要はありません。ただ、これには「現地の国で税金を納めている」という大前提があります。

この大前提がなく、マレーシアで税金を納めていない以上、日本にて納税義務を生じるというわけです。これが、MM2Hビザでフリーランスがマレーシア移住したときに日本で確定申告しなければいけない理由です。

就労ビザで普通に仕事をするなら問題ない

しかし、中には「マレーシアへ移住して一般企業で働きたいという人もいるでしょう。その場合、MM2Hビザではなく就労ビザを取得するようにしましょう。つまり、現地企業(主に日系企業)へ転職するのです。

日本では転職が一般的です。これが海外だと、さらに転職が普通になります。そこで海外展開している日系企業がたくさんあるため、そこで働くことを考えましょう。

マレーシアで勤務する場合、転職先の会社から就労ビザを発行してもらうことになります。以下のようなビザです。

つまりマレーシアでの仕事を考えている場合、MM2Hビザは諦めたほうがいいです。そうではなく、現地企業へ就職により、就労ビザを取得しなければいけません。

マレーシアの日本人求人はいくらでもある

そうしたとき、マレーシアだと日本人向けの求人はいくらでも存在します。東南アジアでは、日本人労働者を欲している会社ばかりだといえます。

もちろん日系企業の求人がメインですが、マレーシアを含め東南アジアでは日本人をターゲットにしたサービスが非常にたくさんあります。例えば私は実際にマレーシアの日本人街に住んでいますが、家の近くには日本人ターゲットの店舗が非常にたくさん存在します。

例えば私の家の近くには日本人ターゲットのクリニックが存在し、日本語ペラペラのイスラムお姉さんが医師との会話をすべて通訳してくれます。以下は娘が発熱したとき、実際に診察してもらったときの様子です。

また同時に、このクリニックでは日本人スタッフについても求人を出しています。以下が実際の中途採用求人です。

未経験でも可能であり、これは日本人をメインとして受付スタッフを募集しているからです。

もちろん今回は未経験可能な求人ですが、マレーシアでは他にも非常に多くの日本人向けの求人募集が存在します。こうした求人へ申し込むことで、MM2Hではなく就労ビザにてマレーシアで働くというわけです。

・転職サイトを利用して海外転職する

ちなみに、このときの転職を自力で行うのは不可能に近いほど難易度が高いです。そのため特別な理由がない限り、転職サイトを活用することになります。

マレーシアにて就労し、仕事をしたい場合はMM2Hビザを考えず、単に転職サイトを活用して現地就職できる会社を見つければ問題ありません。例えば以下はアジアにて広く海外求人を取り扱っている転職エージェントであり、こうした会社を活用するのが基本です。

JACリクルートメントの公式サイトへ

起業・会社設立も不可であり、創業ではビザの切り替えが必要

なおMM2Hビザの保有者はマレーシア国内の企業で働くことができない以上、当然ですが現地での起業や会社設立も不可能です。リタイアメントビザのため、何をどう頑張ってもマレーシアでの創業は無理だと理解しましょう。

仮にマレーシアで起業したい場合、MM2Hビザではダメです。そうではなく、現地に一般法人にて会社を設立し、創業する必要があります。あなたの現地法人を設立し、その会社からあなたへ就労ビザを発行するのです。

マレーシアにて起業している日本人はたくさんいます。この人たちは全員、取得しているのはMM2Hビザではありません。そうではなく会社設立後、自分の会社から就労ビザを経営者自身に発行しているわけです。

そのため創業を考えている場合、少なくとも取得するべきビザはMM2Hではないことを理解しましょう。

ラブアン法人にて低い税率にする方法もある

ちなみにマレーシアの法人を設立する場合、「マレーシア以外の国(日本など)の顧客のみを対象としてビジネスをする」という場合であれば、ラブアン法人という選択肢もあります。

ラブアン法人だと、マレーシア国内の個人や法人とは一切取引ができません。そのためマレーシア国外のみでのビジネスになりますが、「法人税率3%」「所得税は年間で約12万円のみ」と圧倒的に税金が低くなっています。

そのためマレーシアにて働くにしても、日本の顧客のみビジネスをすることで起業を考えている場合、ラブアン法人が最適です。このときはラブアン法人から、あなた自身へ就労ビザを出し、マレーシアにて住むことになります。

もちろんMM2Hビザとはまったくの別物になりますが、ラブアン法人ではMM2Hとは違って納税者番号が付与されます。そのため日本での納税義務はなく、日本にて確定申告する必要もありません。マレーシアにて納税しているからです。そのためMM2Hビザとは納税の方法が大きく異なるようになります。

マレーシアで仕事をするにはMM2H以外となる

今後もリタイア生活を送ることを決めている人であれば、マレーシア国内で仕事をすることを考える必要はなく、特に大きな問題は起こりません。

一方で働き盛りの人がマレーシア移住を考えるとき、「マレーシア現地で働く」「パソコン一台で日本企業を相手に仕事をする」ことになります。そうしたとき、MM2Hだとマレーシア企業で仕事をするのは100%無理なのは認識しておきましょう。そこでマレーシアで働きたい場合、就労ビザを取得して現地企業へ転職するといいです。

またマレーシアで創業し、会社設立するのも不可であり、リタイアメントビザによってマレーシアで働くのは無理だといえます。

一方で日本企業を相手に仕事をする場合は可能です。ただ、その場合は「MM2Hビザにて、日本で確定申告する」「ラブアン法人を利用し、マレーシアで納税する」という2種類の方法があります。このうち、どちらがいいのか事前に決めるようにしましょう。

海外で働くことを考えたとき、人によって求めていることや勤務スタイルが異なるため、一概に最適な答えを導き出すことはできません。ただ、ここではマレーシアで仕事をするときの主な方法について解説してきたため、どのやり方で働きたいのか考えたうえで最適な方法を選択するようにしましょう。