世界にはタックスヘイブン(オフショア地域)と呼ばれる税金がほとんどかからない地域があります。タックスヘイブンの地域はイギリスまたはアメリカが関与していることが多いです。

これらタックスヘイブンの中でも、世界最大のオフショア地域として知られているのがアメリカです。ケイマン諸島やバミューダ、マン島、シンガポールのような面積の少ない国ではなく、アメリカ本土そのものが巨大なタックスヘイブンなのです。

これは、州によってアメリカは法律や制度がまったく違うからです。こうした州の中には、タックスヘイブンとして機能している州があります。特に有名な州がデラウェア州です。ネバダ州やテキサス州など、税金の低い州はあるもの、特にデラウェア州がタックスヘイブンとして有名です。

なぜアメリカは世界最大のタックスヘイブンなのでしょうか。その理由を解説していきます。

アメリカは世界最大のタックスヘイブン

アメリカは先進国であるものの、税金が非常に低いことで知られています。アメリカ企業で働く一般人であれば「税金は低くなく、高額な納税をしている」と思っている人が多いです。これは正しく、一般人は税金を支払わなければいけません。

一方で富裕層の場合、租税回避の方法がいくつもあります。特に会社経営している人の場合、無税の状態を作り出すことができます。

事実、ヨーロッパやアジアの富裕層でアメリカへ移住する人はたくさんいます。この理由としては、アメリカが巨大市場であることだけでなく、税金逃れをすることができるからです。

前述の通り富裕層にとって、アメリカでは課税逃れできる仕組みがたくさんあります。またアメリカがタックスヘイブンであるため、多くのお金がアメリカに集まり、さらにアメリカが富むようになっています。

アメリカが巨大国家である理由として、アメリカ本土がオフショア地域であるという理由もあるのです。

会社設立でデラウェア州は優れている

タックスヘイブンの州として特に有名なのはデラウェア州です。以下がデラウェア州の場所になります。

アメリカで2番目に小さい州であり、当然ながら人口も少ないです。それにも関わらず登記している企業数は多く、デラウェア州では人口よりも会社の数のほうが多いです。

アメリカで上場している企業の50%以上はデラウェア州に本社を置いています。なぜ、人口が少なく面積の小さいデラウェア州に会社が集中しているかというと、デラウェア州がタックスヘイブンだからです。つまり、税金が非常に少なくなっています。

デラウェア州の場合、州内で得たお金については税金を課せられるものの、州外で得たお金は州税を課せられません。実際のところ、デラウェア州内でビジネスをする経営者はほとんどいません。そのため、州税の支払いがなく税金を少なくできます。

州外の人であっても会社を簡単に設立でき、事務所の契約は不要です。もちろん、アメリカ国外に住んでいる人であってもデラウェア州での会社設立は容易です。

さらには、デラウェア州の法律によって企業情報が開示されにくく、会社の匿名性が高いです。また裁判では会社側に有利な判決になることが広く知られており、経営者にとってデラウェア州で会社設立するメリットは非常に大きいです。

アメリカ国外の収入は連邦法人税を含めて無税

またアメリカ国外で利益を作れる人の場合、連邦税も無税になります。デラウェア州が無税のタックスヘイブンとはいっても、州法人税がゼロになるだけであり、連邦法人税をゼロにすることはできません。アメリカ国内で利益を得た場合、すべての会社が連邦法人税を課せられます。

一方で、アメリカ国外でビジネスをする人の場合、州法人税だけでなく、連邦法人税もゼロになります。理由としては、以下の制度があるからです。

  • アメリカ国外の海外子会社が得た利益は、アメリカ国内に送金されない限り課税対象にならない

この制度があるため、ビジネスをして得た利益が無税になります。

多くのタックスヘイブンでは、国内で得た利益に対して課税するものの、国外収益については課税しない制度になっています。アメリカも似た制度になっており、国外で得た利益については、アメリカ国内に送金しなければ課税対象とはなりません。

実際のところ、国外で得た利益をアメリカ国内に送金しなくてもビジネスで問題は起こりません。そのため、デラウェア州の制度を利用することによって課税なしにできます。

なお世界最低法人税として15%の基準はありますが、この制度は世界中でビジネスを展開する巨大企業が対象です。そのため多くの経営者にとっては関係なく、アメリカがタックスヘイブンである事実は変わりません。

ネバダ州やテキサス州など、税金優遇している州は他にもある

なおデラウェア州が有名なタックスヘイブンであるため、過去にはデラウェア州の制度を真似した州がいくつかあります。

オフショア地域についても、ドバイは自国をタックスヘイブンにして外貨を集めることに成功した国として知られています。同じように、アメリカでも州をタックスヘイブン化したケースがあるのです。その例がネバダ州やテキサス州です。

こうした州では州法人税がありません。また、個人に対する所得税もありません。デラウェア州と同じように、優れた税制を採用しています。そのため、こうした州についても大企業が本社を移すケースがよくあります。

ただそれでも、昔からの税金の仕組みや裁判の制度を総合的に考えると、デラウェア州が優れています。そのため、いまでもアメリカ人に限らず世界中の人がデラウェア州で法人設立をします。

他国に比べ、アメリカの税制は優れている

なおアメリカに住んでいる人であれば、アメリカの税金は高いと思うかもしれません。ただ前述の通り、会社経営している人であれば、アメリカ国外の収益に対する税金をゼロにすることが可能です。節税方法は以下になります。

  • デラウェア州で法人を作る
  • 法人税ゼロのタックスヘイブンで子会社を作る

海外での利益について、法人税ゼロのタックスヘイブンでお金を受け取れば無税です。また前述の通り、海外子会社で得た利益をアメリカ国内に送金しない場合、法人連邦税の支払いはありません。これによって、税金を支払うことはなくなります。

またこうした法人の仕組みに限らず、他の国に比べてアメリカの税制は優れています。

例として、相続の場面を考えてみましょう。例えば日本の場合、相続税は最高税率55%です。基礎控除は少なく、3600万円以上の資産をもっている人は相続税を課せられる可能性があります。ドイツやフランスについても相続税が高く、基礎控除は低く、税率は30%や45%などです。

一方でアメリカの場合、連邦遺産税(相続税)の基礎控除は1000万ドル(約10億円)を超えます。大統領の方針によって基礎控除額は異なりますが、他の先進国に比べて基礎控除額が大きく、超富裕層でなければ連邦遺産税は課せられません。

課税逃れのため、ヨーロッパやアジアの富裕層がアメリカへ積極的に移住するのは、アメリカに住めば税金を支払う必要がなくなるからです。

アメリカは他国との租税条約がなく、マネーロンダリングが盛ん

なおアメリカはタックスヘイブンであるため、他の国に比べて金融システムがゆるく、結果として多くのお金が集まるようになります。事実、私はアメリカ人ではなく、アメリカに住んだことがないものの、アメリカのネット証券会社で口座開設をして株へ投資しています。

通常、金融商品を利用するためには、その国の居住者でなければいけません。ただアメリカの場合、アメリカの非居住者であってもアメリカ国内の金融サービスを利用できるようになっています。

タックスヘイブンは通常、非居住者の外国人が金融サービスを利用できるようにしており、結果として世界中からお金が集まり、金融がメイン産業になっています。アメリカでも、これと同じ状況になっています。

しかもアメリカの場合、他の国と租税条約を結んでいません。アメリカにはFATCAという独自の制度があり、これを根拠にアメリカは他の国と税金情報を交換していません。

アメリカは他の国に対して、アメリカ人による脱税や犯罪資金としてのマネーロンダリングを取り締まっています。一方で他の国の人が脱税や犯罪の資金をアメリカへ送金したとしても、アメリカは他国と租税条約を結んでいないため、情報を伝えることはありません。

しかも、デラウェア州の法人を利用する場合は州の法律によって会社が保護されるため、よりお金の動きを把握するのが難しくなります。そのため、アメリカはマネーロンダリングで最も利用されている国となっています。

ただアメリカにとってみると、たとえ脱税や犯罪に関わるお金であったとしても、アメリカ国内に高額なお金が入ってくるのでアメリカは富みます。アメリカは最も影響力の大きい国であるため、こうした行為が黙認されています。

アメリカには世界中からお金が集まる

アメリカの経済が大きい理由はいくつもあります。その一つがタックスヘイブンです。アメリカにはデラウェア州があり、オフショア地域として世界中のお金が集まる仕組みがあります。

事実、デラウェア州に法人登記している会社は非常に多く、アメリカで上場している企業の半分以上がデラウェア州に本社を置いています。社員が働くオフィスビルは他の地域であったとしても、税制上の拠点はデラウェア州なのです。

またアメリカは他国と租税条約を結んでいません。さらに、デラウェア州では州の法律によって企業が守られており、州外の所得に対して課税されません。こうしたオフショア地域としての機能があるため、アメリカでは金融が発展しています。

タックスヘイブンというとケイマン諸島やバミューダ、マン島などの有名なオフショア地域を考えがちです。ただ世界最大のタックスヘイブンはアメリカである事実を理解しましょう。