株式投資によってお金を増やすとき、新興国の投資信託を利用することで大きくお金を増やしたいと考える個人投資家は多いです。新興国の個別株を購入する人はほとんどおらず、普通はインデックス投資を利用します。

ただインデックス投資であっても、プロの投資家を除いて新興国の株へ投資するのはおすすめしません。理由としては、ハイリスク・ローリターンだからです。つまり長期投資を活用したとしても株の値上がりがなく、むしろ損をするリスクが高いです。

株式投資について理解している人であれば、「新興国株への投資は必要ない」と考えます。この理由としては、新興国株で利益を作るのは難しいからです。

過去のチャートを確認すれば、なぜ新興国株がいらないのか理解できるようになります。そこで具体例を提示しながら、なぜ新興国株へのインデックス投資で利回りが低くなりやすいのか解説していきます。

新興国は経済成長率が高いものの、株価は低い

素人の投資家では、「新興国は経済成長率が高く、人口が増加しており、新興国の投資信託を利用することで資産を増やすことができる」と考えます。

ただ、この考え方は間違っています。新興国のインデックスに投資したとしても高確率で損をします。つまり、ハイリスク・ローリターンなのが新興国株です。新興国では経済成長率が高く、人口が増加しているのは事実です。しかし、株価は上昇していないのです。

新興国は何らかの理由によって先進国になれなかった国です。そのため、政治や経済に大きな問題を抱えています。

例えば、中国は分かりやすいです。中国はGDPが大きく、巨大企業がたくさんあり、先進国に比べて経済成長率が高いです。そのため株価が大きく上昇すると考える素人投資家は多いです。ただ、国民の平均所得は低く、政治リスクが高いです。事実、中国共産党は自由に国内企業を潰すことができます。

そのため、中国株は値上がりしていません。以下は上海総合指数(SSE Composite Index)の過去のチャートです。

このように、値上がりしているどころか、株価は大きく下がっています。中国株に投資する場合、ハイリスク・ローリターンであると分かります。

新興国株のチャートを確認し、いらない理由を知る

株式投資に不適なのは中国株だけではありません。ほとんどの新興国では株価が上昇していません。そこで、いくつか新興国の過去5年間の株価チャートを確認してみましょう。

・メキシコ(IPC Mexico)

・フィリピン(PSEi Index)

・インドネシア(Jakarta Composite Index)

・ナイジェリア(NGSEINDX)

どの国も人口が多く、経済成長率が高いです。しかし、株価は増えていません。新興国への投資が必要ない理由は、このように株価が増えていないからです。

株式投資によって儲かるのは、株価が増えるからです。当然ではあるものの、多くの素人投資家は過去の株価チャートに着目しません。その結果、経済成長率や人口増加のみ意識して投資先の国を決めます。その結果、資産運用に失敗します。

米国株に比べてリターンが劣る新興国への投資

株式投資で儲けるとき、米国株へ投資するのが常識です。また米国株でなかったとしても、先進国の株に投資しなければいけません。

アメリカは先進国であるものの人口増が続いており、経済が強いです。そのため、長期的に株価が上昇していることが知られています。参考として、インデクスへ投資したときの過去5年間の成績を以下に記します。

  • 黄色の線:アメリカ(S&P500)
  • オレンジの線:ナイジェリア(NGSEINDX)
  • 青色の線:インドネシア(Jakarta Composite Index)
  • 緑色の線:メキシコ(IPC Mexico)
  • 赤色の線:フィリピン(PSEi Index)

アメリカへ投資するときに比べて、新興国への投資では利回りが圧倒的に悪くなります。

当然ですが、資産を増やすために投資をしなければいけません。利回りが低かったり、マイナスリターンになったりする確率が高い国へ投資してはいけません。つまり、ポートフォリオに新興国は必要ないのです。

経済が成長しても、会社が利益を生み出さない場合は株価が上がらない

それでは、なぜ経済成長率が高いにも関わらず、株価が上昇しないのでしょうか。この理由としては、たとえGDPが上昇したとしても、国内の企業が儲かるとは限らないからです。

アメリカを含め、先進国ではテクノロジー企業の時価総額が高いです。テクノロジー企業は利益率が高く、売上が増えることで利益も増えます。利益が増加していけば、当然ながら株価は上昇していきます。

米国株へ投資すると資産を増やすことができるのは、アメリカのトップ企業はほとんどがテクノロジー企業であり、売上や利益の拡大が可能だからです。

一方で新興国では優れたテクノロジー企業がほとんどありません。つまりGDPが増大したとしても、外資のテクノロジー企業は儲かるものの、国内企業は利益を増やすことができません。

事実、新興国では銀行がトップ企業であるケースがほとんどです。時価総額の大きい産業は金融であり、テクノロジー企業ではありません。当然、銀行の利益が急速に増えることはなく、たとえ経済成長率が高くても株価が増えにくいのです。

経費率が高く、投資リターンは劣る

また新興国へ投資するデメリットは他にもあります。それは経費率が高いことです。投資信託を利用して新興国へ投資する場合、年間手数料を支払わなければいけません。このときの年間手数料が先進国への投資に比べて高いのです。

S&P500やNasdaq100などの米国株へ投資する場合、高確率でお金が増えると多くの投資家が知っています。たくさんの投資家が投資するため、S&P500やNasdaq100へ投資するときの経費率は低いです。例えば、S&P500(VOO)へ投資するときの経費率は0.03%ほどです。

一方、例えばナイジェリアへ投資する場合は投資信託(ETF)の経費率が0.89%です。

新興国へ投資する場合、米国株に比べて利回りが悪くリスクが高いにも関わらず、経費率が高いです。そのため長期で投資するべきではありません。

新興国へ投資したい場合、インドを選ぶべき

なお、それでも経済成長率の高い新興国へ投資したい人がいるかもしれません。その場合、インドへ投資しましょう。アメリカ以外に投資する場合、唯一おすすめの新興国がインドです。

インドは人口が多く、GDPが大きいです。かつて、巨大な人口によって中国が急速に発展したのと同じように、インドも将来は強い国になると多くの人が予測しています。また中国とは異なり、インドは人口が増え続けます。

人口が多く、GDPが大きいという点で中国とインドの経済状況は似ています。ただインドは民主主義の国であり、中国のような政治リスクは少ないです。

また中国は2021年に国内の巨大企業に理由なく罰金や規制をかけました。対象はITや教育、不動産、ゲーム、芸能と幅広いです。その結果、多くの大企業が倒産したり、株価が急落したりしました。また投資家は「中国への投資はリスクが高い」と気づき、中国の代わりにインドへ投資を始めました。

2021年より前では、他の新興国と同じようにインド株の魅力はありませんでした。しかし2021年以降、中国政府による自滅によってインド株が注目され、インド株が上昇するようになりました。事実、2021年のインド株の利回りは優れています。

新興国へ投資する場合、必ずインド株のインデックスを利用しましょう。インド以外の新興国へ投資するのはリスクが高く、おすすめできません。

投資割合は多くても10%が最適

ただ投資をする場合、必ず米国株をメインにしましょう。インド株へ投資する場合、投資割合は5~10%が最適です。インドへの投資割合が10%を超えてはいけません。

インド株は優れた利回りを得られる可能性はあるものの、新興国株であるため、リスクが高いのは他の新興国株と同様です。

米国株へ投資する場合、高確率であなたの資産を増やすことができます。一方でインド株の場合、米国株よりも優れたパフォーマンスを出せる可能性がある一方、株価の伸びが大幅に劣るリスクもあるのです。

例えば、インド株へ投資できる最も有名なETF(投資信託)としてINDAが知られています。INDAを購入する場合、以下のセクターへ投資することになります。

このように、金融産業(Financial Services)がメイン産業です。テクノロジー企業の時価総額は高くなく、インドが発展するとともにテクノロジー企業の割合が大きくなると予想できます。

先進国のようにテクノロジー企業の時価総額が大きくないため、ポートフォリオの多くをインド株が占めるのはリスクが高いです。そのため、新興国へ投資するときポートフォリオのうち10%以下に抑えるのが適しています

なお、新興国へ投資する場合は長期投資をしましょう。新興国の株価が上昇するためには、国内のテクノロジー企業が発展しなければいけません。そこで長期投資することで、インドのテクノロジー企業が成長するのを待つのです。

ハイリスクで利回りの低い株はポートフォリオに不要

新興国に投資しようと考える投資家の多くは素人の個人です。理由として、株式投資の方法を理解している人で新興国へ積極的に投資する人はいないからです。ハイリスク・ローリターンなのが新興国株であり、ポートフォリオに新興国株は不要です。

ほとんどの新興国株はインデックの利回りが悪いです。また投資信託(ETF)を利用するとき、経費率が高いです。過去のチャートを確認すれば、なぜ新興国株がポートフォリオに必要ないのか理解できます。

唯一の例外がインドです。インド株へ投資する場合、アメリカのインデックス(S&P500)へ投資するよりも高いリターンを得られる可能性があります。ただインド株についてもリスクは高いため、投資割合は5~10%以下に抑えましょう。

投資をするとき、儲かる確率の高い株へ投資しなければいけません。そのため、基本的に新興国株への投資はいらないことを理解しましょう。

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