多くの人はインデックスへ投資をします。投資信託を利用することでインデックスへ投資することができ、米国株のインデックスではS&P500やNasdaqが有名です。

投資信託(ETF)の中には、これらインデックスに対してレバレッジをかけて投資できる金融商品があります。特に有名なETFがレバレッジS&P500(SPXL)とレバレッジナスダック(TQQQ)です。

短期投資でこれらのETFを利用するのは優れています。一方、積立投資や長期投資でレバレッジ投資をするのはリスクが高いです。この理由として、不況によって資産価値が10%以下に下落し、資産価値の戻りが遅いことがあります。

レバレッジ投資は短期投資で利益を得られるメリットがある一方、長期投資で資産価値がほぼゼロになるリスクもあります。そのためSPXLやTQQQを利用して投資する場合、事前にメリットとデメリットの両方を理解しましょう。

SPXLとTQQQはレバレッジ投資信託で有名

高い利回りを実現できるのがレバレッジETFです。インデックスに対して2倍または3倍のレバレッジをかけて投資する投資信託を利用するのです。

例えば1%株価が上昇すれば、3倍レバレッジの場合だと株価は3%上昇します。一方で株価が1%下がれば、株価は3%下落します。レバレッジをかけると、ハイリスク・ハイリターンの投資になります。

レバレッジETFの中でも、特に人気の投資信託が以下になります。

  • SPXL:S&P500の3倍レバレッジ
  • TQQQ:Nasdaq100の3倍レバレッジ

S&P500やNasdaq100は両方ともアメリカのインデックスであり、優れた年利を得られることで知られています。そのため、多くの人がSPXLまたはTQQQを利用します。

もちろん、他にもレバレッジETFはあります。ただSPXLやTQQQ以外はパフォーマンスが悪いです。そのため利用するレバレッジ投資信託はSPXLまたはTQQQに限定しましょう。

短期投資によってリターンが大きくなる

レバレッジETFを利用する場面としては短期投資があります。好景気であっても、株価がずっと上昇し続けることはありません。必ずどこかで5~10%の下落をします。

例えば株価が7~10%ほど下落したとき、SPXLまたはTQQQへ投資する戦略は優れています。S&P500とNasdaq100は長期的に株価がずっと上昇しています。そこで株価が一時的に下落したとき、S&P500やNasdaq100ではなく、SPXLまたはTQQQへ投資するのです。

その場合、以下のように1~2ヵ月で大きなリターンを得ることができます。

株価が下落した後に買い、元の株価に戻ったときに売れば30~40%のリターンを得ることができます。好景気のときにこの手法を利用すれば、高確率で大きな利回りとなります。短期的に大きな利回りを得たい場合、レバレッジETFの利用は優れています。

借金をせず、追証がないのはメリット

また仮に不況のときに投資してしまい、株価が下落し続けたとしても、借金をする必要はありません。信用取引/CFDを利用する場合、株価の下落によって価値がマイナスになり、借金によって追証が発生したり、強制ロスカットになったりします。

一方でレバレッジETFではこの心配が必要ありません。例えばS&P500に投資して3倍のレバレッジをかける場合、以下のような値動きになります。

S&P500 CFD SPXL
100ドル 100ドル 100ドル
90ドル(-10%) 70ドル(-30%) 70ドル(-30%)
80ドル(-11.1%) 40ドル(-42.9%) 46.7(-33.3%)
70ドル(-12.5%) 10ドル(-75%) 29.2(-37.5%)
60ドル(-14.3%) -20ドル(ロスカット) 16.7(-42.9%)

信用取引/CFDを利用する場合、価格に対して3倍の値動きをします。そのため株価の下落によって借金による追証があったり、強制ロスカットがあったりします。

一方でレバレッジETFの場合、1日の値動きが3倍になります。そのため1日の下落幅が34%以上にならない限り、価格がマイナスになることはありません(-34% × 3 = -102%)。

またアメリカでは株価が急落したとき、株の取引を一時的に停止するサーキットブレーカーの仕組みがあります。そのため、一日に株価が34%以上下落することは確実にありません。そのためレバレッジETFを利用する場合、株価がほぼゼロになることはあっても、借金をすることはありません。

借金による追証や強制ロスカットがないのは、レバレッジ投資信託を利用するメリットの一つです。

積立投資・長期投資にレバレッジETFは適していない

なおレバレッジETFは短期投資に向いているものの、積立投資や長期投資には向いていません。もしSPXLやTQQQを利用して積立投資をしている場合、いますぐやめたほうがいいです。理由としては、資産価値がゼロになるリスクがあるからです。

レバレッジETFを利用して大きく儲けようとしている人の多くは、好景気のときの株価を参考にします。例えば以下は、2010年から2021年にTQQQへ投資したときの結果です。

このように株価は195倍以上になっています。利回りを確認すると、TQQQの年利は年利60%ほどです。

参考までに、S&P500に比べてNasdaq100のほうが利回りはいいことが知られています。以下はそれぞれの株価を比較したチャートです。

  • TQQQ:黄色の線
  • SPXL:緑色の線
  • Nasdaq100(QQQ):オレンジ色の線
  • S&P500(VOO):青色の線

このようにSPXLやTQQQに投資する場合、S&P500やNasdaq100へ投資するよりも結果は優れています。特にTQQQへ投資する場合、より利回りは高いです。

それにも関わらず、なぜ長期投資でレバレッジETFを利用するべきではないのでしょうか。それは、大不況のときに株価がほぼゼロになる危険性があるからです。また長期投資で株価は減価していきます。

ボックス相場での減価が大きなデメリット

前述の通りレバレッジETFを利用すれば、1日での値動きが3倍になります。ただ、長期的に価格が3倍になるわけではありません。価格がほとんど変わらないボックス相場の場合、レバレッジETFの価格は劣後していきます。これを株価の減価といいます。

例えばNasdaq100(QQQ)が以下のように価格変動したとき、TQQQのシミュレーションをしてみましょう。

QQQ TQQQ
1日目 100 100
2日目 110(+10%) 130(+30%)
3日目 90(-18.2%) 59,1(-54.5)
4日目 100(+11.1%) 78.8(+33.3%)

1日の株価はすべて3倍の値動きになっています。しかし、数日後にNasdaq100の価格が元に戻っているにも関わらず、TQQQの価格は低いです。このように、減価によって株価は徐々に下落していくのです。

年によっては、S&P500やNasdaq100の株価がほとんど変化しないことがあります。そうした年に投資していると、S&P500の株価は変化していないにも関わらず、SPXLの価値は大きく下落することになります。1日では価格は3倍になるものの、長期投資では3倍にならないことを理解しましょう。

株価上昇で利益を得やすく、株価下落で価値の戻りが遅い

レバレッジ投資信託を利用する場合、株価上昇が続く場面では利益を得やすいという特徴があります。これが短期投資に向く理由です。株価が高確率で上昇すると分かる場面でレバレッジETFを利用する場合、優れる利回りになります。

例として、2020年にコロナショックが起こったときのチャートを確認してみましょう。以下のようになります。

  • SPXL:緑色の線
  • S&P500(VOO):青色の線

コロナショックでは、2020年3月に株価が底値をつけました。2020年3月を基準にすると、2020年7月には以下のように株価が増えています。

  • SPXL:175.27%
  • S&P500(VOO):45.9%

このように、3倍よりも数字は大きいです。レバレッジETFを利用すると価値が減価していくものの、株価上昇の日数が多いと3倍よりも優れるリターンになるのです。

一方で株価が大きく下落する場合、逆の現象が起こります。借金による追証や強制ロスカットはないものの、株価の下落によって急速に資産価値が減っていくからです。次は、コロナショックによって株価が急落した2020年2月を基準にチャートを確認してみましょう。

  • S&P500(VOO):青色の線
  • SPXL:緑色の線

このように、S&P500に比べてSPXLの下落は非常に大きく、株価下落後の回復が遅いことが分かります。

  • S&P500(VOO):-7.89%
  • SPXL:-43.6%

前述の通り、レバレッジETFは日数経過によって価値が劣後していきます。それに加えて、価格下落が続くとより速いスピードで株価が減っていきます。そのため、不況によって株価が下がるときにレバレッジETFへ投資していると、株価の戻りが遅くなります。

不況のとき株価が大暴落する

またレバレッジETFが長期投資に向いていない最大の理由として、不況のときに価値がほとんどなくなることがあります。

好景気のときではなく、不景気のときに株価がどのように変動するのか理解しなければいけません。例えば以下は、2000年に起こったITバブルでTQQQへ投資した場合のシミュレーションです。

このときにTQQQへ投資していた場合、資産価値は1%以下に減ります。

それでは、他の不況ではどうなのでしょうか。以下のチャートはリーマンブラザーズ破綻が起こったときの株価推移を記しています。

このように、株価は94%以上下落します。SPXLやTQQQへ投資することによって、株価が100倍以上になる可能性はあります。しかし、大不況によって株価がほぼゼロになるリスクがあることを忘れてはいけません。

参考までに、以下は2000年から2020年までNasdaq100(QQQ)とTQQQに投資したときのシミュレーション結果です。

レバレッジをかけていない場合、株価は大きく増えています。一方、TQQQへ投資する場合は株価が大きく下落しています。

積立投資をレバレッジETFでするべきでない理由がこれです。大不況は数年に一度、必ず起こります。大不況のとき、資産価値がほとんどなくなるのがレバレッジETFです。たとえ資産が大きく増えたとしても、不況のときに資産価値が大きく減るのです。

レバレッジ投資信託を利用する場合、数年に一度、不況によって資産がほぼなくなるリスクがあります。この危険性のため、レバレッジを利用する長期投資を避けなければいけません。

レバレッジ投資信託の使い方とリスクを理解する

短期間で優れたリターンを得られる投資信託がSPXLやTQQQです。非常に有名なレバレッジETFであり、利用している人はたくさんいます。

ただ、必ず短期投資で活用しましょう。短期投資であれば、1~2ヵ月で30~40%の利回りを得ることが可能です。好景気のときS&P500とNasdaq100は株価が上昇することで知られているため、一時的に株価が5~10%ほど下落したときにレバレッジETFへ投資するのです。

一方、レバレッジETFを利用しての積立投資はやめましょう。長期投資では不況によって株価が暴落し、資産価値が10%以下になるのは普通です。また株価が落ちた後、元の価格に戻るスピードは遅いです。

レバレッジ投資信託へ投資するとき、正しい利用方法があります。事前にリスクを理解して、短期投資でSPXLやTQQQを利用しましょう。

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