金利が上昇する場合、一般的には株価は下がります。景気が過熱してインフレ懸念があり、金利が上昇すると投資で稼ぎにくいのです。
一方、金利が上昇することによって株価が上がりやすい業種もあります。金利が上がると、むしろ利益を得やすくなる会社は金利上昇やインフレに強いといえます。こうした業種の株に銀行株やエネルギー株があります。
なぜ、銀行やエネルギー関連の会社は金利上昇によって大きな利益を得ることができ、株価が上がりやすくなるのでしょうか。
株式投資によって儲けることを考えるとき、金利上昇やインフレに強い株を学ばなければいけません。金利が上がりインフレ懸念があるとき、どのセクターへ投資すればいいのか解説していきます。
もくじ
通常、金利上昇で株価は下がる
なぜ株式投資では金利やインフレが重要なのでしょうか。それは、金利が上昇すると株価が下がりやすくなるからです。
景気が過熱している場合、インフレ圧力が強くなります。またFRBなどの中央銀行は過度のインフレを抑えるために政策金利を上げ、金利上昇によって景気の過熱を抑えようとします。
それでは、なぜ金利が上がると株価が下がりやすくなるのでしょうか。この理由として、理論的な株価は以下の式で計算できるからです。
分母に金利があります。つまり金利が上がると、理論的な株価が低くなります。金利上昇によって株価が下落しやすいのは、この計算式によって理論的な株価を計算できるからです。
それ以上に儲かれば株価は上がる
景気の過熱やインフレによって金利が上昇する場合、すべての会社で株価が減少すると考えるかもしれません。ただ実際には、金利が上がっていたとしても株価が上昇する会社があります。なぜ、金利が上昇するにも関わらず株価が上がるのでしょうか。
この理由は単純であり、会社がビジネスをすることによって儲かれば、金利が上がっていたとしても株価は上昇します。
金利上昇は株価にとって逆風です。ただその逆風よりも、大きな利益を出せば株価は上がっていくのです。要は、金利上昇があっても、儲かる会社に投資すれば株価が上昇するといえます。
インフレに強い株というのは、要は金利上昇であっても収益性の高い会社と理解しましょう。
金利上昇やインフレに強い米国株セクターは何か
それでは、具体的にどのような業界は金利上昇やインフレに強いのでしょうか。こうしたセクターとして以下が知られています。
- 銀行株
- エネルギー株
- 高成長のテクノロジー株
テクノロジー株は金利上昇に弱いと考えている人が多いです。短期的には、確かに長期金利の上昇によってテクノロジー企業は株価が下落しやすいです。ただ、長期的には株価は上昇します。
なぜ銀行株やエネルギー株、テクノロジー株はインフレ圧力が強いときの投資に優れているのでしょうか。株式投資は米国株へ投資するのが常識なので、米国株を例として解説していきます。
なお日本株や新興国株の場合、株価がほとんど成長していないケースが多いです。また米国以外の先進国では長期金利が低いことが多いです。米国株以外へ投資する場合、金利が上がる場面であっても銀行やエネルギー企業の株価が上がらないこともあるので注意しましょう。
銀行株は金利上昇で儲けやすいセクター
なぜ、金利上昇によって銀行株が儲かりやすくなり、株価が上昇するのでしょうか。これは、銀行が金貸しビジネスをしているからです。
銀行は企業や個人に対してお金を貸し、金利収入を得ます。ただ政策金利(短期金利)や長期金利が低い場合、会社や一般人にローン貸したとしても、得られる収益は少ないです。
一方で金利が高ければ、銀行はより多くの利子を得ることができます。つまり、多くの利益を得ることができます。銀行にとって、金利が高ければ高いほど利益を作ることができるのです。そのため金利が上昇するときに銀行株へ投資すると、株式投資によって儲けることができます。
また金利上昇のとき、経済は好調です。多くの企業がお金を借りたいと考えるため、銀行はより利益を作りやすくなります。
インフレ上昇でエネルギー価格が上昇する
エネルギー株も同様に金利上昇のときに株価が上がりやすいです。なぜ、エネルギー関連企業は金利が上がることで株価が上がるのでしょうか。
当然ながら、金利が上がることによってエネルギー企業の利益が上昇することはありません。ただ金利が上がるとき、前述の通り景気の過熱があります。またインフレ圧力が強いです。
インフレがあるとき、エネルギー消費が活発です。製造業や運送会社など、多くの会社がエネルギーを消費することによってビジネス活動を加速します。また個人消費は強くなり、例えば多くの人が旅行をして飛行機に乗れば、その分だけエネルギー消費が多くなります。
その結果、石油や石炭、ガスなどのエネルギー価格は上昇します。エネルギーはインフレ圧力によって価格が上昇しやすいです。当然、エネルギー価格が上がればエネルギー会社は多くの利益を作ることができます。そのため、エネルギー関連企業はインフレに強い米国株といわれています。
長期投資ならハイテク株がおすすめ
なお金利上昇やインフレによって、銀行やエネルギー企業が利益を作りやすくなるのは本当です。ただこれらの会社は大きく成長することがないため、長期投資には不向きです。インフレ圧力が強いとき、短期的に投資するのが最適な投資先が銀行やエネルギー企業です。
一方、2~3年以上の長期投資を考えている場合、ハイテク企業に投資しましょう。ハイテク企業は銀行借入が多く、金利上昇によって株価が下がりやすいです。ただハイテク企業は成長率が高く、短期的に株価の下落があったとしても、長期的には株価が上昇します。
例として、アメリカ10年債利回り(長期金利)とNasdaq100の過去のチャートを以下に載せています。
アメリカでは、テクノロジー企業の多くがNasdaqに上場しています。そのうちトップ100社の株価を表すのがNasdaq100です。
長期金利(青い線)が急上昇している場面であっても、長期的にNasdaq100の株価(赤い線)は上昇しています。先ほどの図を確認すると、短期的には長期金利の上昇によって1~3ヵ月ほど株価が下落しています。ただ2~3年以上の長期投資では、長期金利の上昇に関係なく株価は上がっています。
この理由として、前述の通りテクノロジー企業は利益率や成長率が高いからです。また景気が強いとき、テクノロジー企業は利益を作りやすいです。そのため1年未満の短期投資ではなく、長期投資を考えている場合、銀行株やエネルギー株ではなくテクノロジー企業への投資がおすすめです。
金利上昇・インフレでも株価が上がる株へ投資する
株へ投資するとき、株価の値上がりを期待して投資する人が大多数です。そのため、どの株が上昇しやすいのか理解しましょう。
景気が良い場合、インフレ圧力によって長期金利が上昇します。またFRBなどの中央銀行は政策金利を上げることで景気の過熱を抑えようとします。このようなとき銀行とエネルギー関連企業は利益が増えやすいため、株価が上昇しやすいです。
またハイテク企業についても、長期的には金利上昇の場面であっても株価は上昇します。短期的には、金利上昇によってハイテク企業の株は売られます。ただ長期的には株価は大きく上がります。銀行株やエネルギー株は長期的な上昇が少ないため、長期投資ではハイテク株がおすすめです。
金利上昇やインフレがあっても、株価が上昇しやすい業界があります。どのようなセクターへ投資するのが最適なのか事前に確認するようにしましょう。
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